※本記事は、『オムニ・マネジメント』2025年2月号掲載内容を再編集のうえ掲載しています。
若手社員の早期離職は、多くの企業・自治体に共通する課題となっています。 「せっかく採用した若手がすぐ辞めてしまう」「どう接すればよいのか分からない」――こうした悩みを感じている方も多いのではないでしょうか。 「3年以内3割」と言われる現象は、なぜ繰り返されるのでしょうか。 本シリーズでは、世代特性や時代背景を踏まえ、その構造を整理するとともに、この世代の事例を通じて、若手の行動や意思決定の実像に迫ります。理論と実例の両面から、現場で活かせるヒントを探っていきます。
(文:D-OMNi編集部)
目次
企業のみならず官公庁においても大卒者の早期離職には困っているようです。確かに3年以内に3割の離職という数値は厚生労働省のホームページでも公開されています。しかしこの『3年以内3割』という数値は2000年代前後にもあった数値です。 2010年代以降の数値と比較しながら考えてみましょう。 この『3年以内3割』の離職の時期を第1期と第2期に分けてみます。
1991年のバブル崩壊以降1994年までの期間では、『3年以内3割』に達していませんでした。『3年以内3割』の離職が続いたのは、1995年からリーマンショック前年の2007年までの期間です。第2期との違いは、1期の1年以内離職率が12.2%から15.7%と高かったという点です。 この1期に言われたのは雇用のミスマッチです。就職氷河期(1993~2005年)の中、学生たちは本人の能力や専門能力と異なる職場を選択せざるを得ませんでした。また 企業も育成する余裕がなく即戦力として投入されるという状況もありました。有効求人倍率は1を下回ったため非正規雇用になるものが増加したのもこの時期です。 参考までに、現在では当たり前に使われる『ブラック企業』と言う言葉は、2001年に匿名掲示板サイト2ちゃんねるの就職活動板で生まれたと言われています。
リーマンショック後、2010年から再び『3年以内3割』になりますが、1期と比較して1年以内の離職率は最高でも12.8%と下がります。2012年まで、新卒の就職状況は厳しいのですが、アベノミクス(2013年)以降、大卒の就職状況は大きく改善します。私も2012年以前は学生の就職に大変苦労したのを記憶しています。現在は、ご存じのように就職に苦労することはなく、意欲があれば就職できないということはありません。 第2期の特徴は3年目の離職率が2016年以降10%を超えるようになった点です。第1期の3年目の離職率は8.9%程度で一番多い年でも9.7%でした。これは卒業後3年以内であれば第2新卒(定義は曖昧ですが)として企業側も積極採用している点と、今後このシリーズで説明するゆとり・さとり・Z世代に共通する価値観や行動スタイルに関係していると私は考えています。 さらに離職が1回に留まらず、“3年以内離職、転職2-3回”という若者が多い点が特徴です。
私は仕事柄、日常的にゆとり・さとり・Z世代と関わっており、卒業後の離職について相談をうけてきました(アフターサービス付きゼミナールと言っています)。 なぜ若者は3年で辞めるのか”シリーズでは、様々な意見を交換する中で得た、この3つの世代に共通する特徴と、特にZ世代と言われる若者の行動や考え方がなぜ『3年以内3割』の離職につながるのか。その理由と対策についても紹介いたします。
この記事の執筆者
橋本堅次郎(はしもと・けんじろう)
日本文理大学学長
専門分野は経営学、組織変革、流通経営。「組織と人の成長に貢献する」が長年のミッション。小売業・コンサルタントファームを経て役員・管理職として食品業(東証1部)等の上場に携わる。 人材育成事業を起業後、2011年より日本文理大学経営経済学部教授として学生と社会人の指導、地域活性活動を行い、ミッションの実現に尽力している。2021年4月より日本文理大学学長に就任。
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