※本記事は、『オムニ・マネジメント』2025年4月号掲載内容を再編集のうえ掲載しています。
人口減少や少子高齢化が進むなか、自治体にはこれまで以上に難しい判断が求められています。
「アレもコレも」から「アレかコレか」へ――。限られた資源のなかで、地域の未来をどう描き、何を選び取っていくのか。
本連載では、自治体職員や自治体との協業に関わる企業の方に向けて、これからの自治体経営を考える視点をお届けします。
執筆者は、福島県磐梯町の旅する副町長をはじめ、公共・ビジネス・非営利の各分野で地域づくりに関わり、全国100以上の自治体と協働・共創を重ねてきた菅原直敏氏です。
(文:D-OMNi編集部)
「自治体経営への旅」を始めるにあたって
画像:生成AI作成
初めまして、菅原直敏と申します。
今回より、「自治体経営への旅」と題して、連載をさせて頂くことになりました。
本連載の目的は、以下の3点です。
- 行政経営に関する認識共有・機運醸成:
自治体に「経営(マネジメント)」の必要性を普及させ、実践していく機運を醸成すること。
- 事例研究を通じた自治体職員・組織のエンパワメント:
自治体経営に関する事例研究を通じて、自治体職員の知見を拡充し、エンパワメントすること。
- 行政経営の体系化:
雑考形式でコラムを連載しながら、順次自治体経営の考察を通じて行政経営に関する内容を体系化すること。
初回なので、簡単に自己紹介をします。
私は、誰もが自分らしく生きられる共生社会の共創を人生の使命(Mission)としています。
私の属性を敢えて表現するのであれば、旅人、ソーシャルワーカー及び経営者です。
特に経営者としては、現在福島県磐梯町旅する副町長、公共コンサルティング企業の代表取締役及び一般財団法人の代表理事の立場を持っています。
つまり、公共、ビジネス及び非営利の3つのセクターの「経営」に同時に関わっています。
公共分野での活動は25歳の時から20年以上になります。
まずは、市議会議員、県議会議員、各種審議会委員、非常勤特別職のアドバイザー及び副町長と様々な公の立場で地方自治体に関わってきました。
同時に公共分野の戦略コンサルタント及び非営利団体の代表理事として、ビジネス及び非営利の立場でも地方自治体に関わってきました。
関わりの軽重はありますが、神奈川県のような広域かつ大規模な自治体から、人口数百名の小さな村まで、北は北海道から南は沖縄県まで100以上の自治体と様々な協働・共創を実践してきました。
その過程で、知事、市町村長のようなトップマネジメント層から、担当者まで相当な数の自治体関係者と対話を行ってきました。
このような、3つのセクターの様々な立場から自治体と関わる私の実践は極めて独特であり、この過程を鮮明に記憶している内に「経営」の視点で社会へ共有し、体系化していきたいと常日頃から思っていました。
「アレもコレも」から「アレかコレか」へ
さて、全国津々浦々の地方自治体を訪問して、首長や職員の方々と対話すると、大半の方々は「少子高齢化、人口減少が問題である」との認識を持たれています。
確かに、一部の都市部を除けば、大半の地方自治体は人口の大幅な減少が進んでおり、空き家も増え、管理の行き届かない公共インフラも目立ってきています。
一方で、この問題意識は私が公共分野に関わり始めた20年前から変わらず、目立った進歩もないようにも思われます。
このような地方の自治体関係者が持つ問題意識を繰り返し聞く中で、私は多くの自治体に決定的に欠けていることがあるのではないかと強く感じるようになりました。それが、「経営(management)」です。
第2次世界大戦後からバブル経済崩壊後しばらく続いた人口・経済が右肩上がりの時代、国も自治体も住民から集めた資源を再配分することが主な仕事でした。
「アレもコレも」を分配する役割は、住民からも感謝され、それは自治体に関わる人々のやりがいにも繋がっていたかもしれません。
一方で、2000年代に入り、ごく一部を除く大半の自治体で人口減少が進むようになると、自治体は事業の取捨選択を求められるようになりました。
しかし、「アレかコレか」を決断し、自治体を経営していくことは、ほとんどの自治体関係者が経験してこなかったため、多くの自治体では現在進行形で試行錯誤の真っ只中にあるのではないでしょうか。
以上、地域・社会の持続可能性を維持していくために、自治体における「経営」の必要性を喚起できたらと思います。
自治体経営への旅にご一緒して頂けたら幸いです。
この記事の執筆者
菅原 直敏(すがわら なおとし)
福島県磐梯町「旅する」副町長
旅人、ソーシャルワーカー及び経営者。2024年4月より福島県磐梯町「旅する」副町長に就任。
共生社会の共創をミッションに、日本初の自治体CHRO(最高人事責任者)として、「働き方の再デザイン」を牽引する。
一般財団法人旅代表理事、CoCo Consulting 株式会社代表取締役として、非営利団体、営利企業の経営も行なっている。