【No.4】利害関係者から考える自治体経営

【No.4】利害関係者から考える自治体経営
組織とマネジメント
2025/07/01
連載:「旅する」副町長の自治体経営への旅

※本記事は、『オムニ・マネジメント』2025年7月号掲載内容を再編集のうえ掲載しています。

人口減少や少子高齢化が進むなか、自治体にはこれまで以上に難しい判断が求められています。
「アレもコレも」から「アレかコレか」へ――。限られた資源のなかで、地域の未来をどう描き、何を選び取っていくのか。
本連載では、自治体職員や自治体との協業に関わる企業の方に向けて、これからの自治体経営を考える視点をお届けします。
執筆者は、福島県磐梯町の旅する副町長をはじめ、公共・ビジネス・非営利の各分野で地域づくりに関わり、全国100以上の自治体と協働・共創を重ねてきた菅原直敏氏です。

(文:D-OMNi編集部)

自治体経営に関する利害関係者とは

今回は、自治体経営を利害関係者の分類から考察していきます。
マネジメントを「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関である」と定義する場合、自治体に関わる主要な利害関係者の行動原理を理解することは、自治体経営を円滑に行うための鍵になるためです。

自治体には大枠で次の利害関係者がいます。
首長等、議会議員、職員、住民及びその他の人々です。

以下、これらの利害関係者について概説していきます。
画像:生成AI作成

首長等

最初の利害関係者は、首長等です。

首長は、都道府県では知事、市町村では長がそれにあたります。
首長の役割は執行機関のトップマネジメントであり、自治体経営の方向性に非常に大きな影響を与えます。

また、自治体経営を考える上では、選挙によって選ばれる点が重要です。

公選であることを権力の源泉として、首長の補助機関としての副首長や教育委員会を統括する役割としての教育長等の自治体のトップマネジメントに関わる主要な役職も指名します。
法律上は常勤特別職という分類になります。

議会議員

次の利害関係者は、議会議員です。
都道府県、市町村共に議事機関として議会を置くこととされています。

議会は議決等によって執行機関の取組を承認する役割があり、トップマネジメントを考える上で、非常に大きな影響力があります。

また、自治体経営を考える上では、首長と議会との関係性が重要です。
議会との適切な関係性が築けないと、自治体経営において様々な支障が生じるためです。
議員も首長と同じく公選ですが、複数名選出されるため首長よりも多様な民意を反映する役割も担っています。

法律上は非常勤特別職という分類になります。
なお、議会に代えて選挙権を有する者による総会を設けることも可能ですが、現在それを設置している自治体はありません。

職員

続いての利害関係者は職員です。
実際の執行機関において業務を行なっていく役割です。
マネジメントの観点からは、トップマネジメントより下のミドルマネジメント等の役割を管理職が主に担います。

また、自治体実務の中心を担う点から、職員を適切にマネジメントしていくことは、自治体経営の要となります。
近年は職員の確保に苦労する自治体も増加傾向にあります。

法律上は常勤一般職という分類になります。

住人

そして、最も重要な利害関係者は住民です。
主権者として、自治体を自ら治めていく住民自治の担い手としての役割があります。

また、トップマネジメントに関わる首長・議員は住民より選出されます。
したがって、住民が首長・議員の行動原理に与える影響は非常に大きいです。
職員においても、様々な業務で直接・間接問わず住民と接する機会があり、多少の影響を受けます。

近年は住民ニーズも複雑化・多様化する傾向にあり、住民の民意をどのように自治体経営に反映させていくのかという点において、マネジメントの重要性は年々高まっていると考えられます。

その他の人々

上記以外にも法人や各種団体に属する人々等、地域における全ての人々が大なり小なり利害関係者にあたります。
例えば、企業城下町で影響力が大きい企業が立地していると、自治体経営に与える影響は無視できないものとなります。

これらの利害関係者が複雑に絡み合って、自治体は日々マネジメントされていますが、その有り様は自治体ごとに異なるため、自治体経営を進める際には、個々の状況に合わせた利害関係者の現状把握が求められます。
その際に、各利害関係者の行動原理を一般化して理解しておくと、現状把握をする際に役立ちます。

そこで、次回からは、これらの利害関係者の行動原理の側面から、自治体経営について考察していきたいと思います。

自治体経営への旅にご一緒して頂けたら幸いです。

この記事の執筆者

菅原 直敏(すがわら なおとし)

福島県磐梯町「旅する」副町長

旅人、ソーシャルワーカー及び経営者。2024年4月より福島県磐梯町「旅する」副町長に就任。 共生社会の共創をミッションに、日本初の自治体CHRO(最高人事責任者)として、「働き方の再デザイン」を牽引する。 一般財団法人旅代表理事、CoCo Consulting 株式会社代表取締役として、非営利団体、営利企業の経営も行なっている。

キーワード:組織マネジメント社会経営
連載名:連載:「旅する」副町長の自治体経営への旅
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