【組織と人材育成コラム】

マネジメントはメジャーリーグに学ぶ(1)「超競争社会を勝ち抜く基礎」

メジャーリーグの育成環境を手がかりに、競争社会で成長し続けるための基礎を考察。過去の実績に頼らず、下積みで根を張り、自ら考えて試し、結果に責任を持つ姿勢から、ビジネスの人材育成やマネジメントに通じる成功の本質を読み解く方法を紹介します。

メジャーリーグの育成環境に学ぶ、競争社会で成長するための基礎


メジャーリーグの世界は、常識を根底から覆す環境である。そこでは、過去の栄光は一切通用しない。どれほどアマチュア時代に輝かしい成績を残し、周囲から天才と呼ばれていたとしても、プロの世界に入った瞬間に与えられる評価はただ一つ、「ゼロからのスタート」である。

この厳しい現実は、ビジネスの世界にもそのまま当てはまる。新しい会社、新しい部署、新しい役割に入ったとき、これまでの実績は参考にはなるが、保証にはならない。むしろ問われるのは、「いま、この環境で何ができるか」という一点である。
メジャーリーガーになる選手たちは例外なく、マイナーリーグという下積みを経験する。それは単なる技術向上の場ではない。むしろ本質は「心・技・体」、そして人間性を根本から鍛え直す期間にある。

このプロセスは、企業における新人研修やOJTと似ているが、より厳格で逃げ場がない。なぜなら、競争相手は全員が同じように優秀で、なおかつ常に結果で評価されるからだ。

根を張り自ら考え、責任を取る力が成長を支える


マイナーリーグでは、こんな印象的な言葉が繰り返される。「花を咲かせたければ、まず根を張れ」この言葉は非常に示唆的である。現代社会では、短期間で結果を出すことが求められがちだ。

しかし、どれほど美しい花も、しっかりとした根がなければすぐに枯れてしまう。実際、マイナーリーグの経験を経ずにメジャーリーグに上がった選手の多くは、長期的に成功していない。

理由は単純で、「根」が不十分だからである。技術だけでなく、逆境への耐性、自己管理能力、精神的な強さが備わっていないのだ。

答えを教えず、考える力を育てる

 

もっとも特徴的なのが「教え方」である。マイナーリーグやメジャーリーグのコーチは、日本のように手取り足取り教えない。問題を抱えた選手に対しても具体的な答えは与えず、こう言うだけだ。

「よく見て、考えろ」

一見、突き放しているように見えるが、これは非常に本質的な教育である。人から与えられた答えは忘れる。しかし、自分で考え、試し、失敗し、掴んだ答えは一生残る。

メジャーリーグでは「自分流の確立」が強く求められる。成功者のフォームを真似することは、確かに近道に見える。しかし、その先にあるのは「その人の劣化版」でしかない。だからこそ、徹底的に考え、自分に最適な方法を見つける。

体格も、性格も、才能も異なる人間に「万能の正解」は存在しない。最終的には、自分で考え、自分で決め、自分で責任を取る。この姿勢こそが、超競争社会で生き残るための最も重要な基礎となるのである。
(マネジメントはメジャーリーグに学ぶ(2)に続く)
※このコラムは『メジャーリーグに学ぶ』を要約し、まとめたものです。

著者紹介


 タック川本 氏
  国際ビジネス&スポーツアナリスト  

 

 

早稲田大学卒業後、南米アマゾン河で探検、研究生活をおくる。その後、アメリカにて国際情報社会学、インターナショナルスポーツファイナンシャルマネージメントを研究し、中西部を中心にビジネスコンサルタントとして活躍。メジャーリーグ カンザスシティ・ロイヤルズ、カナダのモントリオールエクスポズ(現:ワシントン・ナショナルズ)を経て、ロサンゼルス・エンゼルスの国際編成に移籍。2002年のワールドチャンピオン初制覇も経験。80歳を越えた現在も、日米で講演家、著述家としてテレビ、ラジオ、講演会などで幅広くご活躍中。

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