【組織と人材育成コラム】

マネジメントはメジャーリーグに学ぶ(2)「成長を促す目標設定と人間性の育て方」

メジャーリーグの育成現場から、成長を促す目標設定のコツを学びます。簡単すぎず、高すぎない「あと一歩で届く」目標を細分化し、努力を続ける方法を解説。目標達成の先にある人間性の育成や、組織で人を育てるリーダーの役割も実践的かつ詳細に紹介します。

目標設定で大切なのは、「あと一歩で届く」絶妙な距離感



人は誰しも夢や目標を持つ。しかし、目標の持ち方によって、その人の成長は大きく変わる。まず、目標を大きく3つに分けてみよう。

  1. 簡単に達成できるもの
  2. 少し努力すれば達成できるもの
  3. 大きな努力が必要なもの

この中で最も重要なのが「2つ目」である。

簡単すぎる目標は達成しても満足感が薄く、成長にはつながりにくい。一方で、あまりにも高すぎる目標は途中で心が折れてしまう。人を最も成長させるのは、「あと一歩で届く」という絶妙な距離の目標設定である。

メジャーリーグを目指す選手たちはマイナーリーグの2Aあたりに到達すると、この目標設定で最も苦しむ。周囲には実力者しかいない、誰もがプロとしての能力を持ち、これまでのように簡単には結果が出なくなる。この段階で、多くの選手が壁にぶつかる。

そして次第に、言い訳を探し始める。環境のせい、指導者のせい、運のせい――。
しかし、それは成長の停止を意味する。ここで必要なのは、自分と向き合う勇気である。

  • 自分の弱点はどこか
  • 足りないものは何か
  • 今の努力は正しいのか
一度立ち止まり、冷静に現状を分析し目標を分解することで、再び前に進む力が生まれる。そうすることで、いきなりメジャーを目指すのではなく、まずは「次の一段」である3A昇格に集中する。

このように目標を細分化することで行動は具体化し、計画性をもって努力が継続できるようになる。

目標達成だけがゴールではない。同時に人間性を育てる必要がある



さらに一流のメジャーリーガーになるには本質的な問いがある。

「なぜその目標を目指すのか?」

である。一流のメジャーリーガーは、単にお金や名誉のためだけにプレーしているわけではない。彼らは理解している。自分の成功はファンや社会に支えられているということを――。

だからこそ、

  • 人に感動を与える
  • ロールモデルとなる
  • 社会に価値(恩)を返す
といった、より高次の目的を持つという考えにたどりつく。

目標とは「何を達成するか」という単なる到達点ではない。それは、「どんな人間として達成するか」という自分の生き方そのものを方向づける羅針盤なのである。
(マネジメントはメジャーリーグに学ぶ(完)に続く)
※このコラムは『メジャーリーグに学ぶ』を要約し、まとめたものです。

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マネジメントはメジャーリーグに学ぶ(1)

著者紹介


 タック川本 氏
  国際ビジネス&スポーツアナリスト  

 

 

早稲田大学卒業後、南米アマゾン河で探検、研究生活をおくる。その後、アメリカにて国際情報社会学、インターナショナルスポーツファイナンシャルマネージメントを研究し、中西部を中心にビジネスコンサルタントとして活躍。メジャーリーグ カンザスシティ・ロイヤルズ、カナダのモントリオールエクスポズ(現:ワシントン・ナショナルズ)を経て、ロサンゼルス・エンゼルスの国際編成に移籍。2002年のワールドチャンピオン初制覇も経験。80歳を越えた現在も、日米で講演家、著述家としてテレビ、ラジオ、講演会などで幅広くご活躍中。

※タック川本氏への講演依頼を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。