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開催説明会 記念講演要旨

2014年11月20日(木) ホテルグランドヒル市ヶ谷にて

「自治体総合フェア2015」の開催説明会とともに実施した、内閣官房 社会保障改革担当室 参事官 阿部知明氏による記念講演は大変盛況でした。
以下はその講演内容の要約です。(文責:事務局)

記念講演
マイナンバーの最新動向と変わる自治体・企業
内閣官房 社会保障改革担当室
参事官 阿部 知明氏
田中 和明 氏

マイナンバーの概要

 このマイナンバー制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行なうための基盤であり、社会保障・税制度の効率性・透明牲を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)である。
 社会保障や税の給付を公平に行なっていくために、まず真に手を差し伸べるべき者を見つけることが大事になるが、そうしたことをこのマイナンバー制度によって実現させていこうとしたわけである。おりしも東日本大震災が起こり、こうした災害時に真に手を差し伸べるべき方々に対して積極的な支援が可能になるので、国会審議には時間がかかったがようやく制度として導入された。
 マイナンバー制度の番号には個人番号と法人番号がある。個人番号は市町村長が指定する12桁の番号で、法人番号は国税庁長官が指定する13桁の番号である。法人番号は企業等に付けられるもので原則公開され、民間での自由な利用が可能である。
 個人番号はかなり厳しく利用分野を定めている。

◎個人番号の利用分野(例)

社会保障分野

年金分野 年金の資格取得−確認、給付を受ける際に利用
労働分野 雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際に利用
ハローワーク等の事務等に利用
福祉・医療・その他分野 医療保険等の保険料徴収等の医療保険者における手続に利用
福祉分野の給付を受ける際に利用
生活保護の実施等に利用
低所得者対策の事務等に利用
税分野 国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載
当局の内部事務等に利用
災害対策分野 被災者生活再建支援金の支給に関する事務に利用
被災者台帳の作成に関する事務に利用
上記の他、福祉、保健若しくは医療その他の社会保障、地方税又は防災に関する事務その他これらに類する事務であって条例で定める事務に利用

 いずれにしても個人番号の利用分野は法律・条例に定めてあるので確認して欲しい。もしそうでないことに利用したとしたら、それは法律違反となる。
 地方公共団体の年金や税などの担当の方は当然、個人番号を使うことがある。しかしその他の違う部署の人が利用したりしたらそれは違法となるので、そのことは全職員に周知していただきたい。そのことは民間企業においても同様である。民間企業においても従業員の個人番号を利用することがあるが、番号を扱う人には何のために使用するのかを認識していただいて利用していただきたい。

本人確認をするための個人番号カード

 個人番号を利用するにあたって本人確認をするために利用するものとして平成28年(2016年)1月には個人番号カード(ICチップ内蔵)の交付が開始される。
 個人番号を用いた個人情報の追跡・名寄せ・突合が行われ、集積・集約された個人情報が外部に漏えいするのではないか、個人番号の不正利用等により被害を負うのではないか、国家により個人の様々な情報が個人番号をキーに名寄せ・突合されて一元管理されるのではないかといった懸念がある。そこでマイナンバー制度における安心・安全を確保するために制度面における保護措置とあわせシステム面での保護措置も取られることになった。
 制度面においては特定個人情報(個人番号の付された個人情報)の収集・保管や、特定個人情報ファイルを作成することは原則として禁止され、罰則は大幅に強化されている。またシステム面においては特定個人情報を一元的に管理せずに、分散管理とすることや、個人番号を直接用いず符号を用いた情報連携を実施することとなっている。
 マイナンバー制度の導入にあたって、個人情報の管理の方法については、各行政機関等が保有している個人情報を特定の機関に集約して、その集約した個人情報を各行政機関が閲覧することができる一元管理の方法はとらないこととなった。これは共通データベース等に集約した主体が存在しないようにしたわけである。それではどうするのか、ということだが、そこは、従来どおり個人情報は各行政機関等が保有し、他の機関の個人情報が必要となった場合に、番号法で定められるものに限り、情報提供ネットワークシステムを使用して、情報の照会・提供を行なうことができる分散管理の方法をとるものとしたのである。こうした情報連携でやりとりできる情報の内容については番号法で定められたものに限るわけで、そこに書かれていないもののやりとりは違法行為ということになる。

インターネット上で個人番号は使われない

 情報のやりとりは情報提供ネットワークシステムを使用して行われるが、そうしたやりとりは全て記録される。この情報提供記録は必ず記録すると規定された。こうした機能がなぜ必要かというと、ここでやりとりされる情報は個人情報であり、当の個人の知らない間に情報がやりとりされることもあるわけである。そこで当の個人から問い合わせがあった時は、この情報提供等記録開示機能により、何時どこの役所がどこに対してあなたの何の情報についての請求があり提供された、ということが確認できる。こうしたことがインターネット上でも個人番号カードによる公的個人認証を利用して行なうことができるようになる。
 インターネット上で情報のやりとりをするのに番号は用いない。個人番号でのやりとりを可能にしてしまうとなりすまし等の心配も起こってくる。本人確認のための個人番号カードにはプライバシー性の高い個人情報は記録されないし、認証にはカードに搭載されている電子証明書を用いて認証するようにしている。
 また役所間の情報連携で情報提供を求める際にも個人番号は用いない。もしここで個人番号を用いて情報がやりとりされた場合、職員の中にはその番号は誰々である、ということを知っている人がいるかもしれない。そこで情報提供ネットワークシステムが機関からの情報提供の要求に応じて機関ごとに機関別符号を生成、この機関別符号同士を紐づけして情報提供を許可するという一見複雑な方法をとっている。そのように考えていくと実は、一度電子の世界に入ってしまうと個人番号そのものは使われていないことになるわけである。

デジタルPMO(マイナンバー制度に関する情報伝達のインフラ)

 マイナンバー制度の運用開始に向けた制度構築のための政省令等の整備も着々と進んできたので、これからは平成27年(2015年)10月の個人番号通知に向けて地方自治体にも積極的な準備を進めていただくことになるわけだが、そのための情報伝達のインフラのひとつとしてコミュニケーションツール「デジタルPMO」を提供している。これはマイナンバーに係って情報連携する団体、すなわち情報提供ネットワークシステムに繋がる機関向けに設けたものである。
 ここには「地方公共団体における番号制度導入ガイドライン」や、「事業者における番号の利用例」といった様々な情報が提供されているので、地方公共団体等においては積極的に活用して欲しい。

民間企業における番号の利用例

 また民間企業における個人番号の利用場面としては税分野がまず考えられる。確定申告などでは個人と税務署との関係になるのだが、給与所得の源泉徴収の場合、給与支払者である企業がこの従業員からいくら徴収したかということを税務署に届け出る時、これまでは住所氏名等で行なってきたことが、これからは個人番号を添えて届け出ることになる。税務署が個人番号利用事務実施者であり、企業は個人番号関係事務実施者と呼ぶ関係である。当然のことながら企業が知りえた従業員個々人の個人番号を人事管理のために利用しようとしたりするのは目的外使用であり違法となる。
 このほかにも有識者に原稿執筆をお願いした時の原稿料の支払いにも源泉徴収し税務署に個人番号と法人番号を添えて支払調書を提出する。さらに年金や健康保険等社会保険関係の手続きにおいても同様に個人番号と法人番号の記載が必要となる。

◎民間企業における番号の利用例(内閣官房「社会保障・税番号制度」サイトから)

効率的な行政運営を実現するために

 マイナンバー制度の新IT総合戦略における位置づけについては、公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会の実現を目指しているところにある。将来的には利用者が望むワンストップサービスやモバイルを通じたカスタマイズ可能なサービスなど利便性の高いオンラインサービスを提供するとともに、効率的な行政運営を実現するために取り組んでいる。こうした取り組みを踏まえ、政府のIT戦略である「世界最先端IT国家創造宣言」(平成26年6月24日閣議決定)においては、マイナンバーに係る情報表示や行政サービスを提供するマイ・ポータルを活用し、さらに利便性の高いオンラインサービスをパソコンや携帯端末など多様なチャンネルで利用可能にする「マイガバメント」へと進展させていこうと検討を進めている。

これまでの記念講演会