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開催説明会 記念講演要旨

2015年11月25日(水) ホテルグランドヒル市ヶ谷にて

「自治体総合フェア2016」の開催説明会とともに実施した、千葉市総務局次長 情報統括副管理者(CIO補佐監) 三木浩平氏による記念講演は大変盛況でした。
以下はその講演内容の要約です。(文責:事務局)

記念講演
マイナンバー制度における自治体と企業の連携
〜システム改修、カード交付、マイナポータル〜
千葉市総務局次長 情報統括副管理者(CIO補佐監)
三木 浩平 氏
三木 浩平 氏

当日配付資料(9MB)
※資料利用の際、改変を禁じます。

番号制度対応における資源手配

 マイナンバー制度は来年の1月にスタートしますが、自治体が情報連携するのは平成29年の7月からです。現在はそれに向けて準備を整えています。
 自治体が番号制度に対応するために必要な資源には、ハードウェア、ソフトウェア、人員等その他の資源があります。これらのうち、情報システムの改修や業務用端末など庁内で手配できないものについては外部から調達することになります。【資料2頁】
 平成26年から、様々な調達を開始しています。システム改修の作業、番号の付番等、そして来年、平成28年度から団体内連携テスト、それから国の情報ネットワークシステムとの統合運用テスト等、いよいよ佳境を迎えることになります。ちなみに千葉市では、この番号制度に合わせてシステムを従来のオーダーメードで作った大型汎用コンピュータのシステムから、既製のパッケージのシステムに切り替えることを全面的に行っていきます。これにより、税務システムにしても介護保険システムにしても、いわゆるパッケージに対しての番号制度対応のプログラムを適応するという最小限の改修で乗り切ることができます。【資料3頁】

税務・介護・福祉のシステム改修に着手

 具体的に、どのように作業しているかについて紹介します。
 まずは業務システムの改修については、税務、介護、福祉といったシステムの改修を昨年度(平成26年度)から本格的に取り組んでいます。大まかに俯瞰して見ますと、千葉市のシステム群は、税務・介護・福祉等の各システムが業務共通システムという一つの基盤でまとまって、そこから全国プラットフォームである中間サーバとデータ交換することになります。【資料6頁】
 番号制度では、税、社会保障、それから災害対策という3つの分野で番号を使えますが、番号法の後ろについている別表にてどの事務に使えるか細かく規定されています。
 自治体が取り扱う地方税関係では、個人市民税、法人市民税、固定資産税・都市計画税、軽自動車税、市たばこ税などのように、法令で番号利用が必須な手続きが多く示されているものの他にも、鉱産税、入湯税などのように条例を制定すれば独自に利用できるなど、税目によって番号の利活用には多少の差があります。また、番号には個人番号と法人番号の2種類があります。法人番号は、企業や行政機関、その他様々な機関に対して、ユニークな番号が付番されているもので、主に税の処理に使われます。2つの番号を、どのタイミングで使うことができるのか整理が必要になります。【資料12頁】

税務システムでの番号取得・提供

 千葉市では情報システムに入力する情報をどのように取得してきたかを、個人市民税についてみますと、まず課税資料の入手については、給与支払報告書は企業を通じて、公的年金等支払報告書は年金保険者から、住民税申告書は市民からそれぞれ提出していただいています。【資料13頁】情報のシステムへの入力については、国税庁のeLTAXから取得する確定申告書はデータがそのまま利用できますが、雇用者から提出される給与支払報告書など一部情報は紙で提出される場合があるので、その場合はキーパンチャーが入力しています。【資料14頁】
 次は、税務で得た情報を提供する業務です。まずは庁内でほかの分野の業務に使っています。例えば社会保障系の制度では、所得の制限等が給付の条件になっていたりするので、所得情報を介護保険や国民健康保険などの所管課に引き渡しています。【資料16頁】
 番号制度においては、中間サーバを仲介として他の団体にも税情報を提供することができます。内閣官房の策定した「特定個人情報データ標準レイアウト」の仕様に従い情報を登録します。【資料17頁】また、この情報は定期的に更新しなければなりません。このような番号制度の係る情報の入手や照会が情報システムの改修を行わなければならない機能要件になります。

システム改修の外注にはまず自治体で十分な検討を

 以上のような番号制度対応のための様々な検討を経たのち、システム改修に取り掛かります。改修要素を情報処理の流れで整理すると、情報の入力・取得、処理・保存、出力・提供といった要素毎に必要な要件が浮かび上がります。【資料14頁】
 このような業務の検討を一切せず、要件を具体的に定めないままシステムベンダーに番号制度対応の見積もりを依頼している団体もあると聞いています。どの業務に番号を利用するのか、発注者とベンダーで十分確認したうえで機能改修に臨まないと、リスクを見込んで見積もりが高くなったり、開発途中での確認のために開発期間が長引くなどの恐れがあります。

機械に頼りきれない情報セキュリティ

 今、各自治体が高い関心を寄せているのが情報セキュリティです。まず、個人番号と紐づいた特定個人情報へのアクセスは制限されます。そのため、個人番号を参照できる端末は限定され、個人番号利用事務に携わる職員のみがアクセスできるようにします。
 ところが、個人番号利用事務を行う職員がそれ以外の事務を兼任するケースがあります。そのような場合、どの業務で個人番号の検索ボタンを押したのか本人以外には分かりません。【資料29頁】つまり情報システムによる機械的な判断が難しいのです。この課題について機械的な検知ができる可能性は、通常の挙動と異なる操作です。例えば、職員のログイン時間を取ると、業務時間外や長時間に及ぶログインは通常の操作と異なるので検出することができます。そのような挙動が検出された場合は、モニタリングをしている担当者から、操作している職員の所属する課の情報セキュリティ管理者に連絡し、セキュリティ管理者から操作者に対して状況確認するという方法です。

税業務と社会保障業務対応の違い

 これまで税業務における番号制度対応について述べてきました。番号制度における法定利用事務には、社会保障分野の業務がありますが、この二つの分野で事務の種類が全く違います。番号法の別表第1に記載されている事務の数でみると、税分野は2つですが、社会保障分野では90もあります。【資料33頁】税事務での規定法令は主に2つですが、社会保障分野の事務については、事務毎に法令が異なります。また、税務は大規模な情報処理になるので、多くの事務が情報システムで処理しています。一方、社会保障分野では年間発生件数が100件以下のような事務があり、情報システムで処理していないものも多くあります。このようなものは既存のシステムを改修するという検討の視点では対応できません。つまり、税業務では主にデータのやり取りに注目して検討しましたが、社会保障関係では、各制度の規程と業務処理に注目して検討することになります。

社会保障業務での照会と提供

 社会保障業務対応での番号制度の事務は、情報照会業務と情報提供業務との2種類に分類されます。情報照会業務は、これまで申請者から所得証明書や住民票など添付書類として提出してもらっていた情報について、今後は職員がオンラインで中間サーバにアクセスし情報を確認できるようになります。
 一方の情報提供業務は、資格審査結果や給付実績等の事務処理結果の情報を中間サーバに登録するという業務です。中間サーバに登録した情報は、他の団体や部署がオンラインで参照できますので、これら2つの業務は番号制度の両輪となっています。【資料35頁】
 番号制度では、社会保障分野の事務は、税から収入情報を取得し、税は社会保障業務から資格情報等取得します。社会保障分野の中の事務同士でも資格情報や給付情報をやり取りします。【資料37頁】「データ標準レイアウト」によると、生活保護や在留邦人支援等の事務では、他の事務から情報を多く取得するようになっていますが、高齢者医療や障害者福祉では、他の事務に多く情報を提供することになっており、相互に同じ情報をやり取りするわけではないので注意が必要です。【資料38頁】これらの情報は、現行の業務において情報システムで取り扱っていないものも多いので、システムベンダーに検討を依頼することはできません。業務の所管課において、それぞれ確認しなければならない部分になります。
 そして中間サーバに情報を登録する情報連携作業ではどのような手法をとるか選択する必要があります。最も簡単な方法は、情報システムと中間サーバの自動連携です。職員が特段操作をしなくても、情報システムが自動的に情報を抽出し、中間サーバに登録します。国民健康保険や介護保険など大規模な情報システムが存在する事務ではこの方式が最適と言えます。一方で年間発生件数の非常に少ない業務では、情報システムが整備されていないものもあり、中間サーバに接続できる専用端末を使用し、そこから手入力で情報を入力します。【資料39頁】

番号制度に連携した各種のサービス

 住民向けのマイナンバーの説明会に参加された方から、「これは行政の合理化の話で、自分にメリットがあるのか分からない」という感想が時折聞かれます。法律に書いてある事項は、バックオフィスでの情報連携についての話ですが、番号制度はそれだけではありません。
 ICチップ付きの個人番号カード、マイナポータル、法人ポータルといった番号制度に付随して国が整備する仕組みがあり、これを使えば住民が触れるサービスが実現できます。【資料54頁】例えば、個人番号カードを使ったサービスの代表的なものとして、「おまとめカード」があります。自治体は、図書館の利用者カード、体育館・公共施設の利用者カードなど多種のカードを発行していますが、これらをICチップの中に纏めるサービスです。ただし、誤解を招かないようにしたいのは、例えば図書館カードをまとめるといっても、図書の貸し出し履歴をマイナンバーで管理することではないという点です。図書館の利用者IDをデジタル化してICチップの中に書き込んだり、読み出したりする仕組みなのです。【資料58頁】

個人番号カードへの期待

 個人番号カードを自治体が利用するサービスのひとつに「コンビニでの各種証明の交付」があります。これは住基カードを利用して提供している団体がいくつかありましたが、個人番号カード開始とともに採用する団体が飛躍的に増えることが予測されています。その仕組みは、コンビニエンスストアで、キオスク端末を自分で操作し、住民票の写しや戸籍証明書等の証明書を受け取るというサービスです。【資料59頁】

国民向けの電子私書箱 マイナポータル

 そして、マイナポータルを住民サービスに活用することにも期待しています。電子私書箱機能を使った住民への情報伝達に「マイデータ」の手法が使えないか検討しています。これまでは、下水道料金の通知や国民健康保険の健康診断結果など行政機関から住民への案内は紙で郵送していました。これらの情報を今後、データでお渡しすることができれば、情報の利活用の用途が飛躍的に広がると考えています。HL7やSS―MIXなど標準的なデータ形式で利用者に引き渡せば、利用者が普段自分が使っている健康アプリにデータを利用することができます。また、データは自分のものなので、主治医に見せるなど開示先を自分でコントロールすることもできます。【資料74頁】
 一方で、自分でスマホやパソコンなどを使わない人の場合、データを誰かに預けるという可能性もあります。また、預かった機関、例えば医療保険会社などがそのデータに基づいて様々な健康アドバイスをするというサービスも可能になるのではと考えています。【資料69頁】
 このように、国民向けの電子私書箱であるマイナポータルがデータの流通を促進することによって、様々なサービスが創出されるのではないかと期待しています。

これまでの記念講演会

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