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NOMA News Release(2017/08/30)

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ワーク・ライフ・バランスがとれるロールモデルが女性活躍を推進
-ミレニアル世代の若手女性社(職)員に対する支援・育成が課題-

「第2回 女性管理職意識調査」結果を分析して


一般社団法人日本経営協会(会長:浦野光人、東京都・渋谷区)は、このたび「第2回 女性管理職意識調査」を実施し、『女性管理職意識調査報告書 2017』としてとりまとめました。
 
●背景と調査内容
平成28年4月1日に通称「女性活躍推進法」が施行され、「働き方改革」が重要課題となった今、女性の働く環境がより一層改善されることにより、さらなる女性の活躍が期待されています。
今回、本会が定点調査として実施した「第2回 女性管理職意識調査」は、女性管理職に対する意識調査(個人調査)と企業(団体)の人事担当者に対する調査(組織調査)を並行して行いました。
個人調査では<女性管理職の現状について><女性管理職の働き方について><女性活躍推進について><能力について>の4群20項目の設問により、女性管理職と女性管理職候補のワークライフの現状や働き方への意識等を調査しました。他方、組織調査では<組織における女性管理職の現状について><女性が働く環境について><女性活躍推進について><能力開発について>の4群15項目の設問を通じて女性管理職に対する組織としての考え方を明らかにしました。そこから、女性管理職(女性管理職候補を含む)の意識と組織の考え方とのギャップ等を明らかにするとともに、企業(団体)が今後取り組むべき課題等を探っています。

調査結果概要

●調査対象と方法、有効回答数
個人調査と組織調査をそれぞれ6月初旬から中旬にかけてWEB調査により実施(有効回答数は各400件)。

<<個人調査結果>>
※以下において女性の管理職と管理職候補を合せて示す時は「女性管理職」と略記します。
ただし、それぞれを個別に取りあげるときは「管理職」と「管理職候補」と表記します。

◎女性管理職の家事分担割合(時間)は依然として多く、配偶者がいる場合では家事の6割以上を女性が行っている。また、小学校就学前の子供と同居している人の家事分担割合が高くなっているが、このようなケースは30代以下に多くみられる。なお、親と同居する場合の家事分担は4割と少なく、親との同居が家事分担を軽減している。

◎女性管理職が働き続けるためには、休暇や勤務時間等の柔軟性によってワーク・ライフ・バランスを保つことと、金銭報酬が重要であると考えている。

◎女性管理職のワーク・ライフ・バランスの状況は、男性管理職に比べると良好とは言えない。このため男性管理職以上に、「タイムマネジメントをきっちり行うこと」「仕事を自分一人で抱え込まないこと」「有給休暇を計画的に取得(消化)すること」など時間の使い方を工夫してワーク・ライフ・バランスを保っている。

◎管理職になることについて、管理職候補者は管理職に比べてポジティブな回答の比率が低い。管理職候補は管理職となることのメリットを想像しにくいと考えられる。

◎仕事上の問題・悩みとして44.8%が「部署の人材が不足している」と回答している。年代が若いほど多くの悩みを抱えている一方、おり、部署内の人間関係やチームワークに問題や悩みを抱えている女性管理職は、仕事や立場等への満足度が低いという結果も出ている。

◎前回調査(平成26年)と比較すると、社(団体)内における昇進(昇任)や転職を希望する人が増え、現状維持や独立・自営を希望する人は減った。女性活躍推進や働き方改革等の影響と考えられる。

◎ロールモデルが「社(団体)内にいる」と回答した人は社(団体)内での出世を望み、「社(団体)外にいる」と回答した人はキャリアアップのための転職や独立・自営を望んでいる。ロールモデルの存在とワークライフやキャリアプランとの間には明確な関連性が見られた。

◎3人に1人が「女性活躍推進」について良い方向へ変化したと感じる一方で、「変化なし」が53.5%で半数以上を占めており、「女性活躍推進」については現段階では変化を感じていない人の方が多数。従業員規模では女性活躍の情報公表が義務付けられている301人以上の企業(団体)や、業種別では民間企業等よりも行政・自治体の方が、それぞれ良い方向へ変化したと回答する人が多い結果となった。

<<組織調査結果>>
◎ここ5年間で女性の社会進出はさらに進み、女性管理職は引き続き増加傾向にある。

◎女性の管理職への登用について、3社(団体)中2社(団体)は増やす意向があると回答している。また、前回調査と比較すると、「未定、わからない」が10.2ポイント減り、「増やしたいと考えており、具体的な数値目標も持っている」が8.0ポイント増えた。女性管理職登用に対する方向性と目標は前回調査時(3年前)に比べて一層明確になったと言える。

◎「女性活躍推進」に取り組んでいる企業(団体)のうち、約7割の企業(団体)が女性活躍推進は「進んだ」「多少進んだ」と回答した。ただし、従業員数300人以下と301人以上では女性活躍に関する情報公表義務の有無による差が表れている。

◎「女性活躍推進」に主に期待することは、
 ①女性社(職)員のモチベーションや自律性の向上効果
 ②多様性の創出や風通しが良くなるといった組織風土の改善効果の2点。

◎女性管理職の登用を進める上での主な問題点は、
 ①これまで女性を管理職候補として採用・育成・登用してこなかったことに起因する問題
 ②男性と女性それぞれの意識の問題(男性の意識改革不足と女性の意欲不足)の2点がある。

<<個人調査と組織調査結果の比較>>
◎女性管理職は、企業(団体)が考えている以上に収入や仕事の面白み、時間や精神的な余裕を持って仕事をすることを重視している。

◎企業(団体)は、女性が組織で働く上で育児や介護等が障害であると捉えがちだが、女性管理職は育児・介護と仕事を両立するための休暇の取りやすさや給与額に障害(問題)があると感じている。

◎女性管理職は企業(団体)が考える以上に、優秀な上司や部下、あるいはプロジェクトなどで他部署や社外の優秀な人材と一緒に仕事をすることをモチベーション要因と考えている。

◎企業(団体)は、経済面で安定した生活を保障してくれる企業(団体)が女性管理職にとって働きやすい企業(団体)の要件であることを認識する必要がある。

◎企業(団体)側が評価するほど、女性管理職自身は「女性活躍推進」が進んでいるとは感じていない。一方「女性活躍推進」が進んだ点として、企業(団体)は女性の採用増をトップに挙げているが、女性管理職では女性の管理職への登用増がトップになっている。この2項目については両者の間に差がはっきりと表れた。

◎企業(団体)が女性管理職に求める能力・資質は「指導力(リーダーシップ)」「管理統率力(マネジメント力)」「行動力」「コミュニケーション力」で、女性管理職との間にギャップは余りない。

提 言

以上のような調査結果を基に、女性の企業(団体)での就労と組織・職場でのさらなる活躍を促進し、活力ある社会、そして経済・社会の持続可能性を高めるために、以下を提言いたします。

1 女性が活躍できる舞台(土台)を用意する
グローバル対応、ダイバーシティ対応が企業(団体)の命題となって久しい今日、「女性活躍推進法」の施行を待たずに女性が活躍できる組織づくりに取り組んできた先進企業(団体)は少なくないであろう。しかしながら、男性優位の企業(団体)風土は未だ払拭できておらず、家庭(家事・育児・介護等)との両立が困難なまま働くことを強いられている女性が多く存在することもまた事実である。企業(団体)はこれら根本的な問題を直視し、女性が能力を発揮したいと思えるような組織を再構築すると同時に、女性社(職)員を最大限に活かせる舞台(土台)を用意したり、活躍できる多様なビジネスシーンを創出したりする必要がある。

このために以下の方策をとることが必要である。

2 次世代リーダーの育成に注力する
次世代リーダーを育成するために、採用時から男女差のない人事異動・能力開発を行うことは当然のことである。管理職に必要な能力・資質の中でも特に女性が男性に比べて自信を持てない能力である「指導力」「管理統率力」「行動力」については、これを養うための方策を講じることが必要である。ロールモデルについては、これを組織内に提示することは有効であるが、長時間労働で仕事一辺倒の女性管理職ではなく、ワーク・ライフ・バランスを保ち成果を上げている女性管理職をロールモデルとすることを考えたい。また、管理職候補に位置付けられた女性に対しては、優秀で面倒見のよい上司の下に配属することも有効である。この場合、上司をメンター(制度ではなく精神的に支える人)として活用できればさらに良いが、そのための意識づけとメンターとしての働きを評価する仕掛けが必要である。

3 ワーク・ライフ・バランスが容易に保てる制度と職場環境づくりに注力する
女性管理職は家庭と仕事の両立、そして自分の時間を確保するために、タイムマネジメントや仕事の効率化など様々な工夫を行って時間を捻出している。すでに男性社会の画一的な管理職像を追求する時ではない。企業(団体)が時短勤務、フレックスタイム、テレワーク等なるべく多くの方法を準備し、働く時間のフレキシビリティ(柔軟性)を提供することによって、女性はさらに自由裁量的に時間を使えるようになり、一層ワーク・ライフ・バランスが取りやすくなる。また、これと並行して休暇を取得しやすい職場の雰囲気の醸成や情報共有の仕組みや、相互扶助可能な余裕ある人員体制を整えることも、重要である。これからは、フルタイムワークを前提とした管理職ばかりでなく、労働日数の少ない管理職(週4日勤務など)や複数名で管理職の役割をシェアする短時間勤務の管理職等の柔軟性の高い働き方を模索する時代と言える。

4 30代以下の女性社(職)員への支援・育成体制を強化する
30代以下の若い世代の女性は、管理職になることに抵抗がなく、なることのメリットも大いに感じている上にモチベーションも高い。しかしながら家庭では子育て・育児の問題、悩み、そして仕事では多数の問題・悩みを抱えている。この年代をいかにバックアップし、育成とリテンションを図るかが女性活躍を進める要(かなめ)となる。そのためにも、一般職を含めた若い世代の女性社(職)員に対して、難易度の高い案件や新分野にチャレンジすることを積極的に促し、またコーチ・フォローしながら育成することのできる上司の育成が重要である。

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