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女性躍進に関する調査報告書

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『女性躍進に関する調査報告書』とは

女性躍進に関する調査報告書2015 わが国においては、少子高齢化が進む中で、女性の社会参画と活躍が急務とされています。日本経済再生を掲げる政府は、成長戦略の中で「指導的地位に女性が占める割合を 30%以上とする」という目標を掲げています。
これを受け、一般社団法人日本経営協会(英文名:Nippon Omni-Management Association 略称: NOMA)では、2014年度「女性管理職意識調査」を行い、次世代女性リーダーのさらなる能力発揮に向けた提言を行いました。この報告書はメディア等から多くのお問合せをいただくにいたり、社会的な関心の高さを改めて認識致しました。

2015年度は2014年度の調査を踏まえ、女性一般職(女性管理職および管理職候補を除いた社員(職員))の昇進(昇任)意識・意欲向上のための職場環境改善等に向けた課題を展望することを主目的に、女性一般職に焦点を当てた調査を実施することといたしました。
折しも、第 189 回国会において、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」(通称「女性活躍推進法案」)が可決されました。これにより、従業員数 301人以上の企業(団体)は女性の登用状況と行動計画の策定および公表が義務化されます。また300人以下の企業(団体)においても努力義務とされるなど、ますます女性活躍推進についての関心が高まっています。

今回の調査は、「女性一般職意識調査(個人)」と、「女性躍進に関する調査(組織)」を並行して行いました。
「女性一般職意識調査(個人)」では、女性一般職に関し、<就業意識について><昇進(昇任)に対する意欲について><職場環境について><職場の女性管理職について><自身が管理職候補となった場合について>の5群25項目の設問を用意して女性一般職の昇進(昇任)に対する意識等を明らかにしています。
そして、「女性躍進に関する調査(組織)」では<組織の現状について><組織の職場環境について><組織内の女性躍進への取り組み状況について><女性管理職の現状について><女性の昇進(昇任)意欲について>の6群15項目の設問によって企業(団体)側から見た女性躍進の現状や考えを明らかにしつつ、女性一般職との意識のギャップについても確認しています。
●調査対象と方法、有効回答数
今回の「女性躍進に関する調査」は個人に対してはWEB調査、組織に対しては質問紙による調査を行いました。WEB調査については、7月中に実施し、有効回答数は300件です。また、質問紙での調査は、6月下旬に全国の企業(団体) 970社(団体)に調査用紙を発送し、有効回答数は284件です。

「女性躍進に関する調査報告書」内容

  • 『女性躍進に関する調査』結果概要
  • 提言
  • 調査方法・回収状況
  • 回答者 ・回答団体のプロフィール
  • 個人調査結果
    I 女性一般職の就業意識について
    1 働く理由
    2 いつまで働きたいか
    3 現在の仕事や立場等についての満足度
    4 所属する組織に対して果たすべきこととして重要と思っていること
    II 昇進(昇任)に対する意欲について
    5 昇進(昇任)意欲の現状と変化
    6 昇進(昇任)意欲が変化した理由
    6-1 昇進(昇任)意欲がアップした理由
    6-2 昇進(昇任)意欲がダウンした理由
    III 職場環境について
    7 女性が働き続けるための福利厚生制度の整備状況
    8 有給休暇や福利厚生制度の利用しやすさ
    9 男性社員(職員)との違いを感じる時
    10 キャリアビジョンや能力開発について相談できる人の存在
    11 女性の管理職希望者を増やす制度や環境
    IV 組織(職場)の女性管理職について
    12 管理職全体に占める女性管理職の割合
    12-1 現在の割合をどう思うか
    12-2 今後どうなるべきと思うか
    13 組織(職場)の女性管理職の評価
    14 組織(職場)にロールモデルは存在するか
    15 活躍している女性管理・監督職がとっている行動
    16 活躍している女性管理職の優れていると思う能力
    V 自身が管理職候補となった場合について
    17 不足していると思う能力
    18 管理職になる前に経験してみたいこと
    19 管理職になるにあたって期待すること
    20 管理職業務を行うにあたって不安に思うこと
    21 管理職になるにあたって気になること
    22 管理職になるためにクリアしたい条件
  • 組織調査結果
    I 組織における女性の採用・登用・育児休業の現状について
    1 組織の現状
    2 5年程度前との比較
    II 働き方について
    3 女性が働き続けるための福利厚生制度の整備状況
    4 有給休暇や福利厚生制度の利用しやすさ
    III 女性躍進への取り組み状況等について
    5 女性の管理職登用は進んでいるか
    6 女性管理職の登用が進まない原因
    7 今後の女性管理職登用の方向性
    8 女性の管理職登用を進めるための制度や仕組みの導入状況
    8-1 専任部署やプロジェクトの設置について
    8-2 女性社員(職員)と男性社員(職員)対象の研修について
    IV 女性管理職の現状等について
    9 活躍している女性管理職の行動特性
    10 活躍している女性管理職の優れていると思う能力
    V 女性の昇進(昇任)意欲について
    11 女性が昇進(昇任)をためらう理由
    12 女性の昇進(昇任)意欲を高めるために効果的な施策
    13 女性の昇進(昇任)意欲を高める経験
    14 女性が管理職になりやすい制度や環境
    VI 女性が活躍できるオフィスの実現
    15 女性躍進のために組織や職場で取り組んでいること
  • 資料編
    女性躍進調査・調査票(個人)
    女性躍進調査・調査票(組織)
  • 女性躍進に関する調査 結果概要
    <女性一般職個人調査結果>
    主に「収入を得るため(経済力を付けるため)」(94.7%)に働いている。ライフイベントを機に離職を希望する人は全体の約1割強であり、8割以上が可能な限り働き続けたいと思っている。
    現在の仕事・立場について、「仕事の量」「仕事の内容・質」「仕事における権限」「職場の人間関係」「ワークライフバランス」には満足しているが、「成果に対する金銭的報酬」については、不満を持つ人の方が多い。
    若い世代ほど昇進(昇任)意欲が高い傾向にある。また、『昇進(昇任)したい』と回答した人の現在の昇進(昇任)意欲を入社(入職)時と比べると、20代は8.0ポイント増の48.0%、30代は3.2ポイント増の32.1%であるが、40代は0.8ポイント減の15.5%という結果である。
    昇進(昇任)意欲には、組織風土・職場環境に加え、対価(給料)という外的報酬や仕事の面白さといった内的報酬が影響を与えている。
    仮に勤務先の福利厚生制度が整い、これを利用しやすい環境であったとしても、そのことが昇進(昇任)意欲の向上に直接的には結びついていない。
    約半数がキャリアビジョンについて「相談できる人はいない」と回答しており、組織の対応不足を認めることができる。相談できる人がいる場合は「直属の上司」がトップであるが、上司以外に相談する場合の優先順位は、(1)性別では女性、(2)部署では同じ部署、(3)立場では同僚・先輩である。
    職場に女性管理職が多いと思っている女性一般職の場合、現在所属している職場で働く理由が、「自分を成長させるため・能力を伸ばすため」「経験を積むため」「世の中や社会に貢献するため」など、前向きな理由である比率が高く、ポジティブ思考で、向上心を持って働いている人が多い。
    約8割が職場にロールモデルが「存在しない」と回答している。特に従業員数300人以下の規模と年代別では30代・40代にこの傾向が強い。
    昇進(昇任)を考えるに際して、業務面では〈部下を持ち部下を使って業務遂行することができるかどうか〉、生活面では〈メンタルヘルス不調やワークライフバランスが崩れるのではないか〉という不安を抱いている。
    女性が管理職を引き受けるためのキーワードは(1)収入、(2)上司、(3)労働時間、(4)自信である。
    <組織調査結果>
    5年程度前と比べて女性管理職の比率が増えたと回答する企業(団体)は56.0%と過半数を占めるが、女性管理職の登用が進んでいると回答した企業(団体)は36.3%と約3分の1にとどまる。
    女性管理職登用が進まない企業(団体)側の原因は、女性が昇進(昇任)を望むような制度と環境を構築してこなかったことや、男性同様に育成してこなかったことにあると企業(団体)は考えている。
    女性が昇進(昇任)をためらうのは、〈女性は仕事の充実よりも家庭を優先するため〉と企業(団体)は認識している
    女性管理職を増やしたいと考えている企業(団体)は多いが、その3分の2が具体的な数値目標を持っていない。ただし、企業規模が大きくなるにしたがって、数値目標を持つ割合が多くなっている。また、全体的にみると1年前の「女性管理職意識調査」と比較して数値目標を持つ割合が増えている。
    女性管理職登用を進めるための取り組みとしては、女性対象のキャリアアップ研修や、男性の意識改革研修が最もポピュラーであるが、今後は、女性活躍推進のためのプロジェクトや推進部署の設置、先輩社員(職員)がキャリア形成等をサポートするメンター制度の導入、社(庁)内外の交流ネットワークの利用が進む可能性がある。
    活躍している女性管理職に対しては〈常に気を配りながら相手を尊重して前向きに粘り強く物事に取り組む〉というイメージを持ち、この点を評価している。また、能力では「コミュニケーション力」と「行動力」を評価している。
    女性の昇進(昇任)意欲を高めるためには、①女性に対するキャリアアップ研修 ②上司による積極的なフォロー ③ロールモデルとなる女性管理職の育成と周知 が効果的と考えている。
    <個人調査と組織調査結果の比較>
    女性が働き続けるための福利厚生制度の整備状況と利用しやすさの評価において、企業(団体)が思っているほど、女性一般職はそのことを評価していない。
    活躍している女性管理職について、企業(団体)は「コミュニケーション力」を、女性一般職は「指導力(リーダーシップ)」を最も評価している
    女性一般職は経験を積むにあたって、企業(団体)が考えるほど、出向や転勤などの転居や勤務形態が変わることへの抵抗は少ない。
    企業(団体)は男性と同様の採用・育成・昇進(昇任)機会を与えれば女性が管理職になりやすいと考えているようであるが、女性は機会が与えられたとしても、自分のライフスタイルを崩さずに気持ちよく働ける職場でなければ管理職にはなりにくい(なりたくない)と思っている。
    <提言>
    1) 「働き続けたい」から「昇進(昇任)したい」へ
       企業(団体)は女性が働きやすい環境を整えてきており、女性社員(職員)の勤続年数も伸びているようであるが、女性の管理職登用という点では課題が多い。女性社員(職員)の「働き続けたい」とする意向は強く、これを「昇進(昇任)したい」へと展開させねばならない。女性躍進の実現には〈女性の昇進(昇任)意欲の向上〉が不可欠であり、そのための施策を講じることが必要である。
    具体的には、このために女性一般職に対して以下の方策をとることが有効かつ重要である。
    2) 管理職になった後のメリットを明確に提示する
       女性一般職は女性管理職にそれほど良いイメージを持っていない。心身ともに負担が大きく、ワークライフバランスが崩れ、家族に負担がかかる管理職は割に合わないと感じている。これらを払拭するためには、ロールモデルとなる女性管理職を育成して活躍をPRする、能力主義・成果主義に基づく賃金体系を構築して社員(職員)に提示するなど、動機づけとなる方策をとることが重要である。
    3) キャリアについて日頃から考える環境と機会を創出する
       入社(入職)後の早い時期から、女性が自身のキャリアについて考える機会を提供することが大切である。具体的には定期的なキャリアアップ研修の実施、社内外の女性躍進交流ネットワークへの参加奨励、女性メンバーオンリーの社(庁)内プロジェクト設置など、女性が自分も活躍できると自然に思えるような方策をとることが有効である。また、個別キャリアプランを作成して、定期的に上司や人事担当者と面談する機会を設定するなど、組織としてバックアップしていることを伝えることも重要である。
    4) よい上司を配置する
       ロールモデルが少ない職場では、自身が管理職になること自体想像できないケースもある。直属上司が女性一般職を管理職候補に導くために、新しい業務にチャレンジさせ、これをフォローし、メンタル面を含めてサポートすることで、女性の昇進(昇任)意欲が醸成される。上司が女性を適切にサポートできるよう、上司に対する教育も必須であり、人事評価における評価項目に女性管理職候補育成度を追加するなどの対応も重要である。
    5) リーダーシップに対する自信をつけさせる
       女性一般職は自分自身について指導力(リーダーシップ)が不足していると感じていることが多い。このため、管理職になるにあたって、自身がリーダーとなってチームで業務遂行できるのか不安に思うことが多いので、女性一般職に対し、研修でスキルとマインドを修得させたり、プロジェクトリーダーを経験させて成功体験を積ませたりすることで、自信をつけさせるなどの方策をとることが重要である。