<女性一般職個人調査結果> |
◎ |
主に「収入を得るため(経済力を付けるため)」(94.7%)に働いている。ライフイベントを機に離職を希望する人は全体の約1割強であり、8割以上が可能な限り働き続けたいと思っている。 |
◎ |
現在の仕事・立場について、「仕事の量」「仕事の内容・質」「仕事における権限」「職場の人間関係」「ワークライフバランス」には満足しているが、「成果に対する金銭的報酬」については、不満を持つ人の方が多い。 |
◎ |
若い世代ほど昇進(昇任)意欲が高い傾向にある。また、『昇進(昇任)したい』と回答した人の現在の昇進(昇任)意欲を入社(入職)時と比べると、20代は8.0ポイント増の48.0%、30代は3.2ポイント増の32.1%であるが、40代は0.8ポイント減の15.5%という結果である。 |
◎ |
昇進(昇任)意欲には、組織風土・職場環境に加え、対価(給料)という外的報酬や仕事の面白さといった内的報酬が影響を与えている。 |
◎ |
仮に勤務先の福利厚生制度が整い、これを利用しやすい環境であったとしても、そのことが昇進(昇任)意欲の向上に直接的には結びついていない。 |
◎ |
約半数がキャリアビジョンについて「相談できる人はいない」と回答しており、組織の対応不足を認めることができる。相談できる人がいる場合は「直属の上司」がトップであるが、上司以外に相談する場合の優先順位は、(1)性別では女性、(2)部署では同じ部署、(3)立場では同僚・先輩である。 |
◎ |
職場に女性管理職が多いと思っている女性一般職の場合、現在所属している職場で働く理由が、「自分を成長させるため・能力を伸ばすため」「経験を積むため」「世の中や社会に貢献するため」など、前向きな理由である比率が高く、ポジティブ思考で、向上心を持って働いている人が多い。 |
◎ |
約8割が職場にロールモデルが「存在しない」と回答している。特に従業員数300人以下の規模と年代別では30代・40代にこの傾向が強い。 |
◎ |
昇進(昇任)を考えるに際して、業務面では〈部下を持ち部下を使って業務遂行することができるかどうか〉、生活面では〈メンタルヘルス不調やワークライフバランスが崩れるのではないか〉という不安を抱いている。 |
◎ |
女性が管理職を引き受けるためのキーワードは(1)収入、(2)上司、(3)労働時間、(4)自信である。 |
<組織調査結果> |
◎ |
5年程度前と比べて女性管理職の比率が増えたと回答する企業(団体)は56.0%と過半数を占めるが、女性管理職の登用が進んでいると回答した企業(団体)は36.3%と約3分の1にとどまる。 |
◎ |
女性管理職登用が進まない企業(団体)側の原因は、女性が昇進(昇任)を望むような制度と環境を構築してこなかったことや、男性同様に育成してこなかったことにあると企業(団体)は考えている。 |
◎ |
女性が昇進(昇任)をためらうのは、〈女性は仕事の充実よりも家庭を優先するため〉と企業(団体)は認識している |
◎ |
女性管理職を増やしたいと考えている企業(団体)は多いが、その3分の2が具体的な数値目標を持っていない。ただし、企業規模が大きくなるにしたがって、数値目標を持つ割合が多くなっている。また、全体的にみると1年前の「女性管理職意識調査」と比較して数値目標を持つ割合が増えている。 |
◎ |
女性管理職登用を進めるための取り組みとしては、女性対象のキャリアアップ研修や、男性の意識改革研修が最もポピュラーであるが、今後は、女性活躍推進のためのプロジェクトや推進部署の設置、先輩社員(職員)がキャリア形成等をサポートするメンター制度の導入、社(庁)内外の交流ネットワークの利用が進む可能性がある。 |
◎ |
活躍している女性管理職に対しては〈常に気を配りながら相手を尊重して前向きに粘り強く物事に取り組む〉というイメージを持ち、この点を評価している。また、能力では「コミュニケーション力」と「行動力」を評価している。 |
◎ |
女性の昇進(昇任)意欲を高めるためには、①女性に対するキャリアアップ研修 ②上司による積極的なフォロー ③ロールモデルとなる女性管理職の育成と周知 が効果的と考えている。 |
<個人調査と組織調査結果の比較> |
◎ |
女性が働き続けるための福利厚生制度の整備状況と利用しやすさの評価において、企業(団体)が思っているほど、女性一般職はそのことを評価していない。 |
◎ |
活躍している女性管理職について、企業(団体)は「コミュニケーション力」を、女性一般職は「指導力(リーダーシップ)」を最も評価している |
◎ |
女性一般職は経験を積むにあたって、企業(団体)が考えるほど、出向や転勤などの転居や勤務形態が変わることへの抵抗は少ない。 |
◎ |
企業(団体)は男性と同様の採用・育成・昇進(昇任)機会を与えれば女性が管理職になりやすいと考えているようであるが、女性は機会が与えられたとしても、自分のライフスタイルを崩さずに気持ちよく働ける職場でなければ管理職にはなりにくい(なりたくない)と思っている。 |
<提言> |
1) |
「働き続けたい」から「昇進(昇任)したい」へ |
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企業(団体)は女性が働きやすい環境を整えてきており、女性社員(職員)の勤続年数も伸びているようであるが、女性の管理職登用という点では課題が多い。女性社員(職員)の「働き続けたい」とする意向は強く、これを「昇進(昇任)したい」へと展開させねばならない。女性躍進の実現には〈女性の昇進(昇任)意欲の向上〉が不可欠であり、そのための施策を講じることが必要である。 |
具体的には、このために女性一般職に対して以下の方策をとることが有効かつ重要である。 |
2) |
管理職になった後のメリットを明確に提示する |
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女性一般職は女性管理職にそれほど良いイメージを持っていない。心身ともに負担が大きく、ワークライフバランスが崩れ、家族に負担がかかる管理職は割に合わないと感じている。これらを払拭するためには、ロールモデルとなる女性管理職を育成して活躍をPRする、能力主義・成果主義に基づく賃金体系を構築して社員(職員)に提示するなど、動機づけとなる方策をとることが重要である。 |
3) |
キャリアについて日頃から考える環境と機会を創出する |
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入社(入職)後の早い時期から、女性が自身のキャリアについて考える機会を提供することが大切である。具体的には定期的なキャリアアップ研修の実施、社内外の女性躍進交流ネットワークへの参加奨励、女性メンバーオンリーの社(庁)内プロジェクト設置など、女性が自分も活躍できると自然に思えるような方策をとることが有効である。また、個別キャリアプランを作成して、定期的に上司や人事担当者と面談する機会を設定するなど、組織としてバックアップしていることを伝えることも重要である。 |
4) |
よい上司を配置する |
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ロールモデルが少ない職場では、自身が管理職になること自体想像できないケースもある。直属上司が女性一般職を管理職候補に導くために、新しい業務にチャレンジさせ、これをフォローし、メンタル面を含めてサポートすることで、女性の昇進(昇任)意欲が醸成される。上司が女性を適切にサポートできるよう、上司に対する教育も必須であり、人事評価における評価項目に女性管理職候補育成度を追加するなどの対応も重要である。 |
5) |
リーダーシップに対する自信をつけさせる |
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女性一般職は自分自身について指導力(リーダーシップ)が不足していると感じていることが多い。このため、管理職になるにあたって、自身がリーダーとなってチームで業務遂行できるのか不安に思うことが多いので、女性一般職に対し、研修でスキルとマインドを修得させたり、プロジェクトリーダーを経験させて成功体験を積ませたりすることで、自信をつけさせるなどの方策をとることが重要である。 |