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若手社会人就労意識ギャップ調査報告書2012
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若手社会人就労意識ギャップ調査報告書2012
コンテンツ
『若手社会人就労意識ギャップ調査報告書2012』とは
日本経営協会では、就労後3年目のビジネス・パーソンを対象に「第1回若手社会人就労意識ギャップ調査」を実施しました。この調査は、入社(入職)後、3年を経過した正規雇用(任用)の若手社会人における就労意識のギャップの他、個人の仕事観・勤労意識やキャリアデザイン等の現状を明らかにするもので、定点調査の第1回目として実施しています。
●調査の背景
厚生労働省の「職業安定業務統計」によると、大卒の若手社員(職員)の3人に1人が入社(入職)3年以内に辞めてしまう状況が続いています。入社(入職)から3年経過する内に「こんなはずではなかった」と何らかのギャップ(学生時代に抱いていたイメージと就職して感じたものとのギャップのことを指します。以下、同様。)を感じて辞めてしまっているようです。社会人になって最初の仕事や職場において感じるこのギャップが、仕事観・勤労意識やモチベーション、職場への定着、そしてキャリアデザインにいろいろな影響を与えていると考えられますので、本会は今後における組織と個人のウイン・ウインの関係を検討する基礎データを収集すべくこの調査を実施しました。
●調査内容と調査方法・対象者数
「学生時代の就職活動」、「現在の環境への満足度」、「若手社員(職員)の職業観」、「若手社員(職員)の能力開発」など19項目の設問を設定して、入社(入職)から3年経過した若手社会人のいまを明らかにしています。調査はインターネットを活用したWEB調査法により6月中に実施し、有効回答数は700件でした。
「若手社会人就労意識ギャップ調査報告書2012」内容
はじめに
結果概要
調査方法・回収状況
回答者のプロフィール
≪学生時代の就職活動について≫
(1) 最初に入社(入職)した会社(団体)を選んだ理由
(2) 学生時代に抱いていたイメージと実際に就職して感じたギャップ
(3) 学生時代の社会人像と、社会人になって分かった社会人像との差
≪キャリアデザインについて≫
(4) 現在勤務している会社(団体)での昇進(昇任)志向について
(5) キャリアデザインの有無について
(6) キャリアデザインの作成責任
≪現在の環境への満足度≫
(7) 仮に再度就職活動を行えるとしたら就職活動するか
(8) 今の会社(団体)でいつまで働き続けたいか
(9) あなたの転職状況をお聞かせください
(10) 転職をしない理由
≪若手社員(職員)の職業観について≫
(11) 仕事を行う上で大切だと思うこと
(12) モチベーションが下がる理由
(13) 社(団体)内制度の有無と制度への満足度、希望する社(団体)内制度(自由回答)
(14)(15) どのような職場で働いているか、働きたいか
≪若手社員(職員)の能力開発について≫
(16) 自信のある能力
(17) 不足している能力
(18) 勤務先が特に求めている能力
(19) 能力開発のために自発的に行っていること
資料編
第1回 若手社会人就労意識ギャップ調査票
属性別主要クロス集計表
第1回若手社会人就労意識ギャップ調査結果概要
◎
入社(入職)動機の1位は「自分のやりたい仕事ができると思ったから」が39.6%。就職活動する中で、学生は自分のやりたい仕事ができると考える会社(団体)を選択して入社(入職)しているといえます。
◎
「学生時代のイメージより良い」と回答した比率から「学生時代のイメージより悪い」と回答した比率を引いた差異は、「職場での人間関係や雰囲気など」が唯一プラスで、それ以外の5項目はすべてマイナスでした。この結果から見るところ、やりたい仕事ができると期待して入社(入職)してみたものの、それが思いどおりに実現できてはいないケースが多く、ギャップが少なからずあるようです。入社(入職)から3年以内に3人に1人が辞めてしまう現状がある中では、これら若手社員(職員)が下した評価について耳を傾けることは、今後の企業(団体)の力を高める上で効果的といえます。
◎
昇進(昇任)に魅力を感じていない若手社員(職員)が4割弱を占めました。経営幹部への昇進(昇任)志向を持たない若手社員(職員)は少なくないといえます。なお、「こんなはずではなかった」というギャップが昇進(昇任)志向に与える影響は少なくないことが明らかになりました。近年、低下しつつあるとされている昇進(昇任)志向を高めるためには、ギャップを小さくする方向での職場・仕事の魅力づくりを進めることが必要といえます。
◎
キャリアデザインを持つ人が4割を占めました。なお、キャリアデザインと昇進(昇任)志向との間には、キャリアデザインを持つ人の方が持たない人よりも経営幹部への昇進(昇任)志向が高いとの違いがありました。また、キャリアデザインに関しては、自己責任で作成するものとの考えが浸透しています。
◎
再度就職活動が行えるとしたら就職活動するかとの問に対しては「再度就職活動する」(44.4%)が最多回答でした。44.4%の回答者は再度就職活動することを辞さないと回答していることから見て、現在の環境に必ずしも満足していないようです。また、ギャップの大きさは、再就職活動についての考え方を左右すると共に、社会人生活の満足度を低下させることも明らかになりました。
◎
今の会社(団体)でいつまで働き続けたいかについての1位は「転職できるだけの実力(スキル・キャリア・人脈)ができるまで働き続けたい」(29.3%)となりました。この他には、「好条件のスカウトが来るまで働き続けたい」(16.6%)、「次の就職が見つかるまで働き続けたい」(15.6%)も少なくなく、総じて転職志向は高いようです。なお、ギャップの大きさは転職志向に影響を与えています。
◎
回答者の40.0%は転職を経験済みです。転職と入社(入職)動機との関係では、仕事の内容やスキル、専門性を入社(入職)動機とする人に転職経験者は多く、社会的評判や社会的貢献、安定性といった会社(団体)の特色を入社(入職)動機とする人は少ないという傾向があります。また、「定年まで働き続けたい」は19.0%で2位であり、終身雇用を期待する若手社員(職員)は少ないとの結果が得られました。
なお、これに関連して、今春、日本生産性本部が新入社員に対して行った調査では「今の会社に一生勤めようと思っている」が6割を超えましたが、好対照の結果といえます。入社(入職)から3年経過した若手と、就職氷河期を経験して入社したばかりの新入社員との間には、経験の差によると思われる大きなギャップがあるようです。
◎
仕事を行う上で大切にしていることの1位は「仕事が面白い」(68.7%)、2位は「自分自身の成長が実感できる」(59.1%)でした。この2つが50%を超えていますが、仕事をする上でのインセンティブとして、仕事の面白さや自分の成長実感といった内的報酬による刺激が重要であることが分かります。これからは内的報酬を重視したインセンティブ等を工夫しなければならないといえます。
◎
モチベーションが下がる理由の1位は「職場の倫理観の欠如、不正、不祥事に気付いた時」(39.4%)で、コンプライアンスの重要性は若手社員(職員)にしっかりと認識されています。コンプライアンス欠如は若手社員(職員)のモチベーション低下につながりやすく、したがってコンプライアンス活動を通じて経営の透明性を高めることは、若手社員(職員)の持つ潜在的な力を引き出す上で有効といえます。
◎
希望する職場は、「上司や部下の立場に関係なく意見が言える」職場で48.3%がこれを挙げました。職場に成果主義が浸透しつつある今、コミュニケーションの良い職場をつくり上げることは若手の力を引き出すために欠かせないといえます。
◎
自信のある能力の1位は「柔軟性」(33.6%)、2位は「状況把握力」(32.6%)、3位は「実行力」(32.4%)です。一方、不足している能力は、1位が「語学力」(39.0%)、2位が「働きかけ力」(35.1%)、3位が「ストレスコントロール力」(28.9%)です。
◎
能力開発のため自発的に行っていることの1位は「日常業務の中で身につけようと意識している」(30.1%)です。実務こそ最大の学習機会だと若手社員(職員)は捉えているようです。一方、「能力開発について考えたことはない」は18.0%と少なくありません。この点から見て、組織としては今まで以上に能力開発の必要性を継続的に理解・浸透させていくことが必要と考えられます。