多様性増す働き方、このまま非正規で働きたい非正規社(職)員が増加
~非正規の待遇改善やパラレルワーク容認も影響か?~
一般社団法人日本経営協会(会長:浦野光人、東京都渋谷区)は、このたび「第2回非正規社(職)員の働き方の意識と実態に関する調査」を実施し、『非正規社(職)員の働き方の意識と実態に関する調査報告書 2017』としてとりまとめました。
※前回調査『非正規社(職)員の働き方の意識と実態に関する調査報告書2013』2013年8月
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背景と調査内容
柔軟で多様な働き方の実現に向けて「働き方改革」が進むなか、雇用者の4割を占める非正規雇用の労働者に対しても、待遇改善に向けたさまざまな施策が打ち出されています。通称「無期転換ルール」の運用開始を来春に控え、「同一労働同一賃金ガイドライン案」を踏まえた法改正の動きもある現在、多くの企業(団体)が非正規社(職)員の登用・活躍に関心を寄せています。
今回、本会が定点調査として実施した「第2回非正規社(職)員の働き方の意識と実態に関する調査」は、比較的若い世代の非正規社(職)員の意識と実態を<現在の働き方等について><働き方の変化の可能性について><能力開発について><ライフプランについて>の4群20項目の設問によって明らかにしました。そして、そこから得られた知見をもとに、非正規社(職)員が各人のワークライフに合った働き方を選択できる社会、そして企業(団体)にあっては非正規社(職)員を有効活用しつつ新たな価値を創造していくことができる社会とするための方策を探っています。
大学・大学院を卒業・修了し、現在、非正規社(職)員として週30時間以上勤務している25歳から40歳までの方々に対し、9月中旬WEB調査により実施(有効回答数は700件)。
<現在の働き方等について>
◎非正規社(職)員という現在の雇用形態を積極的に選んだ人は3割弱であり、約半数(51.3%)は正規で働きたいと考えていた「不本意」な就労である。なお、残りの2割は雇用形態については特にこだわりはなかった。
◎前回調査に比べて「仕事の内容」「仕事の責任」「能力開発の機会」「給与や福利厚生」において正規社(職)員との間に差を感じる人は若干減少した。しかし一方で、「給与や福利厚生」において正規社(職)員と差があることについては「納得できない」人が増えた。
◎「非正規」として働くことのメリットは①残業や転勤がないこと、②ライフステージやプライベートを重視できること、③都合に合わせて働き方や職場を変えられることであり、自分自身の都合を優先して働けることにメリットを感じている人が多い。
<働き方の変化の可能性について>
◎無期転換ルールを「よく理解している」(7.9%)と「ある程度理解している」(21.4%)を合計すると29.3%で3割に満たない。「聞いたことはあるが内容は知らない」が25.1%、「聞いたことがない」が45.6%であり、無期転換ルールについての認知度は低いと言わざるを得ない。
◎今後の希望する働き方としては、正規社(職)員が39.2%、非正規社(職)員が18.2%、展望なしが32.6%、その他が10.0%である。前回調査と比較すると、正規社(職)員になりたい人は減少し、非正規社(職)員として働きたい人が増加した。
◎非正規で働く以外に「本業」を持つ人は4.7%、「副業」を持つ人は12.6%であり、パラレルワークを実践している人は17.3%存在した。また、仕事ではないがパラレルなキャリアに結びつく可能性があるものとしては「資格取得のための勉強」を行う人が13.7%、「芸術・芸能などの稽古・練習・レッスン」を行う人が10.1%である。なお、「いずれも行っていない」人が61.3%で6割以上を占めた。
<能力開発と将来について>
◎非正規社(職)員の職場における教育・能力開発に対する満足度は低く、「指導・教育は受けていない(受けたことがない)」人が43.0%も存在する。一方、キャリアデザインを持つ人は全体の22.6%と低く、自己啓発を行っている人も30.5%に留まる。これらの結果から、非正規社(職)員はキャリア形成・能力開発環境に恵まれず、自身のキャリア形成に積極的に取り組む人も少ないと言えよう。
◎非正規社(職)員の約7割がライフプランを持っていない。また、将来の生活費・医療費・介護費について「不安がない」と答えたのは僅かに4.0%であり、「多少不安がある」(27.1%)と「大いに不安がある」(56.7%)を合せ、8割以上が老後の生活に不安を感じている。
詳細は「調査研究報告書」をご覧ください。
URL
http://www.noma.or.jp/report_home/tabid/493/Default.aspx